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不要品の承諾だけで再訪し貴金属を勧誘 ― 訪問購入3社に9か月の業務停止命令

この記事のまとめ

  • 九州経済産業局は2026年8月4日、訪問購入業者3社に特定商取引法にもとづく業務停止命令を出しました。
  • 停止は2026年8月5日から2027年5月4日までの9か月間で、勧誘・申込受付・契約締結が対象です。
  • 認定された違反は、購入業者の名称の不明示、要請のない勧誘、再勧誘、書面の記載不備など6項目です。
  • 代表取締役2名にも同じ期間の業務禁止命令が、3社には再発防止策を講ずる指示が出されました。
  • 業務停止と業務禁止の期間は、2027年5月4日に満了します。

違反の類型:迷惑な勧誘・書面の不備・その他

九州経済産業局は2026年8月4日、訪問購入業者3社に対して業務停止命令と指示を出しました。消費者庁は翌8月5日にこれを公表しています。本処分は、特定商取引法69条3項にもとづき、消費者庁長官の権限委任を受けた九州経済産業局長が実施したものです。

対象は、株式会社R-group、株式会社キャピタルリンク、株式会社Two-callの3社です。いずれも本店所在地は福岡市博多区で、富福の名称で宝石、貴金属、時計等の中古品を購入する訪問購入業者です。公表資料には、類似する名称の別会社と間違えないよう会社所在地なども確認するよう注記があります。

9か月の業務停止と、代表取締役2名への業務禁止

業務停止命令の根拠は特定商取引法58条の13第1項です。別紙1に、停止の期間と対象の業務が書かれています。

本件3社は、令和8年8月5日から令和9年5月4日までの間、訪問購入に関する業務のうち、以下のアからウまでの事項を停止すること。 ア 本件3社が行う訪問購入に関する売買契約の締結について勧誘すること。 イ 本件3社が行う訪問購入に関する売買契約の申込みを受けること。 ウ 本件3社が行う訪問購入に関する売買契約を締結すること。

期間は2026年8月5日から2027年5月4日までの9か月間です。訪問購入に関する業務のうち、勧誘・申込受付・契約締結の3つが止まります。

あわせて、特定商取引法58条の13の2第1項にもとづく業務禁止命令が、個人2名に出ました。名宛人は、R-groupとTwo-callの代表取締役である細川竜志です。もう1名は、キャピタルリンクの代表取締役である村惠貴一です。期間は3社への業務停止と同じです。命令は、上の3つの業務を新たに開始することと、その業務を担当する役員となることを禁じています。

個人が名宛人となった理由は、別紙2と別紙3に書かれています。

細川は、R-group及びTwo-callの代表取締役(特定商取引法第58条の13の2第1項第1号に規定する役員)であり、かつ、R-group及びTwo-callが停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしていた。

村惠については、キャピタルリンクの代表取締役であることが書かれています。加えて、R-groupのマネージャー(同号に規定する使用人)であったことも記されています。

認定された違反は、勧誘の入口から書面まで6項目

別紙1は、3社が連携共同して違反行為をしていたとして、6つの行為を挙げています。対象の期間は、いずれも少なくとも2024年8月から2025年4月までです。

  • 氏名等の明示義務に違反する行為(購入業者の名称の不明示)/58条の5
  • 勧誘の要請をしていない者に対する勧誘/58条の6第1項
  • 勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで行う勧誘/58条の6第2項
  • 契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘/58条の6第3項
  • 書面の交付義務に違反する行為(記載不備)/58条の8第2項
  • 物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為/58条の9

局はこれらをまとめて、次のように認定しています。

本件3社は、以下のとおり、連携共同して、特定商取引法に違反する行為をしており、九州経済産業局は、訪問購入に係る取引の公正及び売買契約の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。

不要品の承諾だけで再訪し、貴金属の勧誘に移った

別紙1が事業概要として書いているのは、二段構えの訪問です。まず消費者宅を訪問して不要品の売買契約(本件売買契約①)の勧誘をし、後刻または後日に改めて訪問する承諾を取り付けます。再訪の場で、貴金属など(本件物品②)の売買契約(本件売買契約②)の勧誘をしていました。

この流れのうち、再訪の場での貴金属の勧誘が58条の6第1項の違反とされました。

本件3社は、少なくとも令和6年8月から令和7年4月までの間、連携共同して、訪問購入に係る本件売買契約①の締結について勧誘する承諾のみを取り付けた上で消費者宅を訪問したにもかかわらず、同所において、訪問購入に係る本件売買契約②についての勧誘の要請をしていない者に対し、本件売買契約②の締結について勧誘していた。

線が引かれたのは、承諾の範囲です。消費者が承諾したのは不要品の勧誘を受けるための訪問だけで、貴金属の勧誘までは要請していない、という整理です。

最初の訪問についても、58条の6第2項の違反が認定されています。

本件3社は、少なくとも令和6年8月から令和7年4月までの間、連携共同して、訪問購入をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「富福の●●と言います。この付近のご自宅を回っています。なにかいらないものがあれば持って行きますが、何かないですか。」などと告げるのみで、訪問購入に係る本件売買契約①の締結について勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで勧誘をしていた。

同じ場面は、58条の5の違反にもあたるとされました。勧誘に先立って購入業者である3社の名称を明らかにしていなかった、という認定です。名乗りとして告げられていたのは「富福」という名称と担当者名でした。

「貴金属は持っていません。」と言われた後の勧誘

58条の6第3項は、契約を締結しない旨の意思を表示した相手への勧誘を禁じています。別紙1は、断りの言葉とその後の言葉を具体的に挙げています。

本件3社は、少なくとも令和6年8月から令和7年4月までの間、連携共同して、「貴金属は持っていません。」などと、訪問購入に係る本件売買契約②を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「ちょっと探してみてもらえませんか。」、「指輪もないんですか。」などと告げて、引き続き本件売買契約②の締結について勧誘をしていた。

別紙1の事例には、ほかの言い回しも記録されています。「そんなものありませんよ。うちには。」と断られた後に「そう言わないで。貴金属どんなものでも良いから、何か持ってないですか。」、「査定だけでもいいからさせて下さいよ。」と告げた例が挙げられています。査定だけという申し出も、勧誘を続けた行為として書かれています。

交付書面の記載不備と、引渡し時の告知漏れ

3社は契約の内容を明らかにする書面を交付していました。それでも記載不備とされたのは、電磁的記録による解除に関する部分です。

当該書面には、特定商取引法第58条の8第2項に規定する売買契約の内容を明らかにする書面を受領した日から起算して8日以内(以下「クーリング・オフ期間」という。)を経過するまでは、訪問購入に係る売買契約の相手方は、電磁的記録により訪問購入に係る売買契約の解除を行うことができ、かつ、訪問購入に係る売買契約の解除は、当該相手方が、当該解除に係る電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずることを記載していなかった。

書面を渡していたかどうかではなく、法定の記載事項がそろっていたかどうかが見られています。

物品を受け取る場面についても、58条の9の違反が認定されました。

本件3社は、少なくとも令和6年8月から令和7年4月までの間、連携共同して、訪問購入に係る売買契約の相手方から直接物品の引渡しを受ける時、当該相手方に対し、クーリング・オフ期間は当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げていなかった。

なお消費者庁は、同じ日に消費者向けのチラシ「その貴金属、本当に売るつもりでしたか?」も公表しています。そこには、契約してしまった場合の制度が次のように書かれています。

契約してしまった場合でも、法定書面を受け取った日から8日以内なら買い取られた物品を取り戻せるクーリング・オフ制度があります。

指示は、原因の調査分析と再発防止策の周知まで

3社には、特定商取引法58条の12第1項にもとづく指示も出ました。別紙1は、指示の内容を次のように書いています。

当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講じ、これを貴社の役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

主文に書き込まれているのは、再発防止策を講ずることだけではありません。原因の調査分析と検証、役員と従業員への周知徹底、その期限が業務再開までであることも含まれています。

広告・表示の担当者が公表資料から読み取れる点

この処分で条文があてられたのは、広告の文言ではなく、訪問の現場での言葉と手順です。公表資料に書かれた範囲で整理すると、次の3点が読み取れます。

第一に、再訪の承諾は、勧誘してよい範囲とセットで見られています。不要品の勧誘について取った承諾は、貴金属の勧誘の要請とは扱われませんでした。何の勧誘について承諾を得たのかが、後から分かる形で残っているかどうかが問われます。

第二に、断りの言葉の後に続けた発言が、そのまま認定の材料になっています。別紙1には従業員の発言が引用符付きで記録されています。査定だけという言い方も、勧誘の継続として書かれました。

第三に、書面は交付の有無ではなく記載事項で判断されています。今回欠けていたのは、電磁的記録による解除ができる旨と、その通知を発した時に効力が生ずる旨でした。書面の様式を最後に見直した時期と、法定の記載事項との対応が確認できるかどうかが、自社で確かめられる点です。

個別の事案で何が違反とされるかは、勧誘の全体と取引の実態によります。自社の手順について判断が必要なときは、所管の行政機関や弁護士に確認してください。

今後の予定

  1. 3社への業務停止命令と、代表取締役2名への業務禁止命令の期間が満了

日付は公表資料の記載にもとづくものです。

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経過

日付と出来事の一覧を開く(2件)
  1. 九州経済産業局が3社に業務停止命令と指示、代表取締役2名に業務禁止命令を出す
  2. 消費者庁が処分を公表。業務停止・業務禁止の期間が始まる

出典

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